地域社会とともに

地域密着型経営の大里綜合管理㈱を訪ねて

千葉県山武郡大網白里町、ここに地域の住民が自由に出入りできる会社があります。土地売買・賃貸・建築・リフォーム・不動産管理を営む「大里綜合管理株式会社」です。
弊事務所が取り組んでいます「地域の清掃活動」や「花づくり」「東日本大震災への復興支援」などの地域貢献活動の原点となった会社が大里綜合管理㈱です。
2012年12月19日に私と家内がその会社を訪問し実際に二人の目で見てきた大里綜合管理㈱をご紹介させていただきます。代表取締役社長である野老(ところ)真理子さんは、今から18年前に先代のお母様から事業を引き継がれて間もなくある事件に遭遇します。木の伐採作業中に起きたバイク青年の死亡事故を機に再発防止に努める上で、「私の何を変えることで会社が変わるのか」それを考えた結果が「環境整備」の1日1時間の清掃活動だったといいます。新聞紙の広さくらいだけを磨くと「きれいになったこともわかる」が、「そこが汚れていたこともわかる」。それが野老社長の言う「気づき」の原点だったわけです。

◇ 地域清掃活動で変わったものとは ~気づく訓練~
清掃活動を通じ、気づく訓練を積み上げていった結果、それが様々な地域貢献につながった。社員も含めて「お金になるかならないか」「仕事か仕事でないか」は考えない。目の前で子供が泣いているのをなだめるのも仕事の一つ。「ありがとう」をいただくのが仕事の本質。世の中には「お金になる仕事」と「お金にならない仕事」がある。これは中小企業家にとってはどちらも大切なもの。しかし私たち経営者は「お金にならない仕事」に見向きもしなかった。だから世の中が疲弊した。これは私たち経営者の責任であると野老社長(写真左側)は明言します。

◇ 地域貢献(その1) ~カルチャーおおさと~
気づく訓練の積み上げによりつながった様々な地域貢献。たとえば「会議
室」、会社では会議室は会議をしている時にしか使われていない。そこに気づきがありました。それが「会議室の多目的利用」です。公民館は収益が伴う営業等には貸してくれません。そこで収益が伴う場合は有料で、収益が伴わない場合は無料で会議室を公開しています。
まず、私たちが最初に案内されたのは、2階小会議室。ここでは、その日、地域の整体師の方が「自己整体講座」を開いていました(左写真)。さらに、次に案内されたのは大会議室です。この大会議室は時間帯によって多目的利用がされています。その日の午前中の講座は「足つぼ健康法」、隣町から講師を招いての講座です(右下写真)。
この部屋はこのあと昼の時間を迎え大きく様変わりをします。
 

◇ 地域貢献(その2) ~ワンデイシェフキッチン~
次に紹介するのは、「ワンデイシェフキッチンレストランおおさと」です。さきほど紹介させていただいた大会議室が昼の時間(12時~15時)は「地域のシェフの日替わりレストラン」として、大きく様変わりをします。「地域のシェフの日替わりレストラン」とは、つまり、地域の料理飲食店や料理自慢の主婦が日替わりでシェフとなって500~800円で地域の方や社員さんにお昼ご飯を提供するシステムです。1日30食限定とのことです。この日のシェフは(次ページ左写真)この方です。この日のメニューは「チャーハンとトリ団子汁」(次ページ中央写真)でした。地域の皆さんと一緒になって、私たちもいただきました。とても美味しかったです。おやおや、午前の「足つぼ健康法」の講師、食事を終えた方をつかまえて無料マッサージをしていますね(右写真)。
  
以前は、この大会議室は夕方からは、「学童保育」として利用されていました。今では地域に地方公共団体が主催する学童保育の場が開設されたため、土曜日と夏休み期間中だけとなっていますが「学童保育」は専門の保育士を雇用するのではなく、学童保育の卒業生である高校生や中学生が先生役を務めるそうです。自分たちが「めいっぱい」をかけてやろうとする姿は、連帯と自主性が育つ仕組みになっており。保護者からも「あなたたちのおかげで安心して仕事ができる」と感謝されているそうです。そうした地域貢献活動から、「地域循環」は「お金、経済だけだ」と考えていたが「人」から「人」への地域循環があることを知ったと野老社長は話されました。「学童保育の仕組み」がまさに「人」から「人」への地域循環といえるのではないでしょうか。

◇ 地域貢献(その3) ~ギャラリーおおさと~
次に紹介するのは「ギャラリーおおさと」です。食事を終えた私たちは1階にある二つの小部屋に案内されました。最初に案内された部屋は地元の有名な画家が個展を開いていました(右下写真)。後ほど詳しく紹介しますが、この写真は、東日本大震災で被災された陸前高田市の方々の似顔絵をその画家が無料で描いているところです。
次に案内された小部屋は、以前は社長室として利用していた部屋ですが、今は、3段の棚をつくり、1か月1,000円で地域の方々が作ったパッチワークや様々な小物が展示されていました。そこで販売された売上代金の1割は会社に入れてもらっているそうですが、店番役は地域の方が交代でしており、その人はその中央のテーブルで同時に「手作り教室」をすることができるようになっています。
10畳ほどのスペースですが、会議も今までどおりでき、皆に喜ばれ、自分たちも立ち入ることができる仕組みづくりと野老社長は熱く語られていました。


  
◇ 地域貢献(その4) ~東日本大震災の被災者の方に~

「3.11」 千年に一度の震災とまで言われる東日本大震災。その瞬間に何ができるか。地元大網白里町でも地震発生直後、地域の5つの信号が停電になり渋滞ができました。15時30分から21時まで男性社員は交通整理をしました。女性社員は炊き出しをしました。社長の指示など一切受けず、地域貢献活動が仕事の一部になっているわが社であると野老社長は語ります。
その後、大里綜合管理㈱では、現在まで毎週のように地域からボランティアを募り、自社のマイクロバスを使って東日本大震災で被災された地域を見舞われているそうです。
私たちがお邪魔したその日は、偶然にも野老社長が被災に遭われた8名の陸前高田市の方々に心と身体を癒してもらいたいと2泊3日で招待してされていた最終日でした。
大里綜合管理㈱では、地域貢献活動の一端として週に一回程度コンサートも実施しています。この日は、陸前高田市の皆さんへのプレゼントとして「ミニコンサート」が開催されました。昼食を終えた私たちも陸前高田市の皆さんや地域の方々に混ざって「ミニコンサート」を拝聴させていただきました。
この日のコンサートは、フルートとピアノの演奏でした。
コンサートの終わりには、野老社長の呼びかけで、陸前高田市の皆さんと地域の方々が手をつなぎピアノの伴奏でみんなで「ふるさと」を合唱しました。きっと被災前の陸前高田市を思い出されながらの合唱だったのでしょう皆さんの目には涙があふれていました。地域の皆さんも一緒になって泣きながらの合唱でした。
  

陸前高田市の皆さんは津波で沢山の大切な人や物を失くしました。写真もその一つです。笑顔もそうです。それを思い、野老社長は千葉市内のプロのカメラマン、この方は笑顔を撮るのが上手で有名だそうですが、そのカメラマンを大網白里町まで呼んで陸前高田市の皆さんの「笑顔の写真」をプレゼントしました。出発前にどんな写真が撮れたかをプロのカメラマンが皆さんにお見せしているところです(左写真)。私も拝見しましたが、皆さん本当に素晴らしい笑顔で写真に納まっておられ、心が癒されると感激されていました。

いよいよ、出発の時を迎えました。大里綜合管理㈱を取り巻く地域の皆さんや社員さんが握手で陸前高田市の皆さんをお送りするところです。陸前高田市の皆さんと地域や社員の皆さんが涙で「ふるさと」を合唱し涙で別れを惜しむ姿に、私自身、目頭が熱くなりましたが、このレポートの冒頭部分で紹介した野老社長のあの言葉を思い出し、余計に熱いものがこみ上げてきました。



「お金になる仕事」と「お金にならない仕事」がある。これは中小企業家にとってはどちらも大切なもの。しかし私たち経営者は「お金にならない仕事」に見向きもしなかった。だから世の中が疲弊した。「万が一の時に万が一生きのびたとすればやれることをやる。そんな人たちの集団は復興が早い」まずは困っていることをかなえてあげる。「いざとなった時にいざとなった覚悟ができる人」たくさんの人を現場に連れて行き自分のこととして捉えてみよう。仕事とは何か?積み上げてきたことはこの日のために。売上を伸ばすことを努力することよりも、被災地に出向き今できることに取り組む。それが、清掃活動からの気づきを積みあげてきた結果で幸せに感じている。野老社長の言葉です。
バイク青年の死亡事故から清掃活動を始め、現在では会社の仕事を100とするとその4割くらいは地域貢献活動に時間や場所を提供しているという。そうした積み上げで野老社長が一貫して持ってきた信念は「いざという時にきちんと態度がとれること」であり、その信念は様々な社会貢献活動を通じ、社員自体が、「いざとなった時にいざとなった覚悟ができる人」に成長している。地域の住民の方が自由に出入りできる会社「大里綜合管理㈱」素晴らしい会社でした。「人から人への地域循環」ぜひ私たちも実践してみたいと思います。

 

松田哲也税理士事務所

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